自転車保険の義務化はいつから?対象地域や罰則について解説!

全国で自転車保険の義務化が広がっています。背景には、自転車事故での高額な損害賠償請求が多発している事故が発生しており、被害者の救済と加害者の経済的負担の軽減を目的とし義務化されました。

全国の都道府県で義務化されたわけではありません。しかし、自転車保険に加入していなかったがために、思わぬ経済的負担を負う可能性があることを知っておく必要があるでしょう。

本記事では、自転車保険が義務化になっている地域、保険に入らなかった時の罰則を解説します。

この記事を読むことで、お住まいの地域が対象となっているか、また、加入していなかった場合の罰則を知ることができ、必要な保険の内容を理解することができます。

自転車保険の義務化はいつから?

自転車保険は、平成27年10月に全国で初めて兵庫県で義務化されました。令和5年4月時点では、32都府県、1政令都市で義務化されています。また、10道県で努力義務化とされており、まだまだ全国に広がっていないのが現状です。

義務化されている保険の内容

各都道府県の条例で定められている自転車保険の義務化の内容は、「損害賠償責任」を補償する保険に加入することです。

自転車事故の場合、以下のような損害に備えておかなければなりません。

人への損害物への損害
・他人を怪我させてしまった時
・万が一死亡させてしまった時
・他人の物に傷をつけてしまった時

目的は自転車を運転している最中に発生した事故によって負うこととなった賠償金や修理費を補償することです。自転車保険に加入していない場合、加害者は自腹で相手への賠償や損傷した物品の補償を行わなければなりません。

自転車保険への加入義務は、このような経済的負担を軽減する目的で条例によって定められているのです。

義務化されている自転車保険に入らなかったら?

住んでいる都道府県で自転車保険の義務化が条例で定められている場合、自転車保険に入らないとどのようなことが起きるでしょうか。

入っていない場合の罰則や、万が一事故を起こした際にどんなことが起きるのか解説します。

自転車保険に入らなくても罰則はない

自転車保険が義務化が条例で定められている都道府県では、自転車保険に加入しないと条例違反になります。しかし、違反になるだけで罰則は定められていないため、罰金規定は設けられていません。

ただし、万が一事故を起こしてしまった場合、金銭的補償は加害者が自腹で行う必要があります。自転車保険の加入が義務化されているか否かで加入を検討するのではなく、万が一に備えて加入をしておくことが重要です。

万が一自転車事故を起こした場合、損害賠償義務が発生する

自転車事故を起こした場合、相手がいる事故では損害賠償義務が発生します。その場合高額な損害賠償になる可能性があり、支払うことができない請求がくることがあります。

過去に発生した事故の一例を見てみましょう。

賠償額事故概要裁判所
9,520万円 坂道を下ってきた小学5年の少年の自転車が歩行中の62歳女性と衝突し、歩行者の女性が意識不明となった。神戸地裁 平成25年7月 
5,438万円 成人男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と 衝突し、女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。東京地裁 平成19年4月 
4,746万円 信号無視した会社員の男性46歳の自転車が横断歩道を渡っていた75歳の女性と衝突し、歩行者の女性が死亡した。 東京地裁 平成26年1月 

自転車保険が義務化になっている地域

国土交通省の発表によると、令和5年4月時点で自動車保険が義務化されている地域は32都府県、1政令都市です。。また、10道県で努力義務化とされてます。

義務化および努力義務となっている自治体は以下の通りです。

自転車保険の加入が義務化されている地域自転車保険の加入が努力義務化されている地域
宮城県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
※上記のほか、岡山市、において義務条例を制定済み
北海道、青森県、茨城県、富山県、和歌山県、鳥取県、徳島県、高知県、佐賀県

内に書かれていない地域でも、今後自転車保険への加入の義務化が制定される可能性があります。お住まいの自治体のホームページなどで確認することをおすすめします。

自転車保険が義務化の対象となる人

義務化されている地域で自転車に乗る場合は、以下の人が自転車保険加入の義務化の対象となります。

  • 通勤や通学など日ごろから自転車に乗る人
  • 自転車レンタル業者や販売店

それぞれ詳しく見ていきましょう。

通勤や通学など日頃から自転車に乗る人

通勤や通学で自転車を利用するという方や、普段の生活で自転車を利用する人が対象となります。大人も子どもも年齢を問わず、自転車を利用する時点で義務化の対象です。

自転車レンタル業者や販売店

自転車のレンタル業者や販売店も自転車保険の対象です。

自転車のレンタル業者は、以下の場合に補償が発生します。

  • 自転車を貸し出した人に対する怪我の補償
  • 自転車を貸し出した人が物を壊した時の補償

自転車販売店は、自転車を購入する人に対して保険に加入しているか確認したり、保険の情報提供をしたりすることが努力義務として定められている地域もあります。

自転車保険の選び方

自転車保険が義務化されている補償内容は、相手への怪我や物に損害を与えた時に備えることができる「個人賠償責任保険」に加入しておけば問題ありません。自転車保険に限らず、火災保険や自動車保険などの損害保険などの特約として付帯することができ、クレジットカードの付帯保険でも対応可能です。

そのため、必ずしも自転車保険に加入しなければいけない訳ではありません。しかし、個人賠償責任保険だけだと自転車事故での自分自身の怪我や入院した時の補償はないため、自身の怪我や入院などに備えたい場合は、自転車保険への加入をおすすめします。

自転車保険の保障内容

自転車保険の補償内容は、大きく分けて2つです。

相手への補償自分自身の補償
・相手に怪我を負わせた時
・相手を死亡させた時
・相手に障害を負わせた時
・相手の物を壊した時
・自身の怪我や入院や通した時
・自身が死亡した時

火災保険やクレジットカードの付帯保険とは異なり、事故を起こした本人に対してだけではなく、相手への補償と自身の補償がセットになったものが自転車保険の特徴です。。

相手に対しては、怪我や障害以外にも物への損害も補償されますが、自転車事故によって自身の自転車が破損した場合の補償はありません。

自転車保険を選ぶ際の注意点

自転車保険の補償内容に関しては保険会社によって大きく違いはありません。しかし、補償される金額は保険会社によって変わってくるため、万が一の事故に備えてしっかりカバーできるような保険を選ぶことをおすすめします。

特に、相手への損害に対する補償は「1億円」「3億円」「無制限」などから選ぶことが可能です。自転車事故の最高の損害賠償金額は「1億円」と言われていますが、自転車事故の損害賠償金額に上限はないため、1億円以上の補償をつけるとよいでしょう。

自転車保険で万が一の事故に備えよう

自転車保険の義務化をきっかけに自転車保険に加入する人が増えています。「自分は安全運転をしているから事故を起こさない」と考えていると、万が一の時に大きな経済的負担を負うことになりかねません。また、自分が怪我をしてしまった時の備えにもなるため、義務化されていないからと言って加入しないのはリスクが大きいとも言えるでしょう。

自転車保険は、自分の怪我や相手への損害賠償への補償だけでなく、あなたや相手の将来を守るものです。

もし、加入せず事故を起こしたら、自分の将来がどうなるか?家族の将来はどうなるか?

この機会にしっかりと向き合い、自転車保険への加入を検討しましょう。

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