暑さが厳しくなる夏、子どもたちの熱中症リスクが高まる季節がやってきました。運動中や遊びに夢中になっているとき、子どもは体の異変に気づきにくく、周囲も異常を見逃してしまいがちです。
特に近年は気温が40度近くまで上がる猛暑日も増え、熱中症による救急搬送や入院の事例も多発しています。「ちょっと様子がおかしい…」そう思ったときにはすでに手遅れというケースも少なくありません。
この記事では、子どもがかかりやすい熱中症の症状や予防法、そして万が一に備えるための保険の活用方法について、親として知っておくべき情報をまとめてお届けします。
1. 子どもの熱中症、実は“身近なリスク”だった
熱中症というとスポーツや真夏の炎天下を想像しがちですが、実際には身近な場所でも子どもは熱中症にかかります。まずは、その実態を具体的なシーン別に見ていきましょう。
1-1 熱中症はどこで起きている?
熱中症は「屋外の炎天下」でしか起こらないと思われがちですが、実際には登下校中、学校の教室、公園、自宅など、あらゆる場所で発症しています。
総務省消防庁が発表した2023年の「熱中症による救急搬送状況」によれば、6月~9月の期間に5,000人を超える子ども(7歳~18歳未満)が熱中症で救急搬送されており、特に7月と8月に集中しています。
また、熱中症が発生した場所は以下のように多岐にわたります。
発生場所 | 割合(目安) |
---|---|
学校・部活動中 | 約35% |
公園や空き地など屋外 | 約25% |
自宅 | 約20% |
通学中・移動中 | 約10% |
その他 | 約10% |
出典:総務省消防庁「令和5年(2023年)夏期における熱中症による救急搬送状況(確定値)」
https://www.fdma.go.jp/
1-2 熱中症は突然やってくる
朝は元気に登校したのに、昼にはぐったりして病院に運ばれる、そんな話は決して珍しくありません。熱中症は初期症状を見逃しやすく、進行がとても早いのが特徴です。
- だるそうにしている
- 頭が痛いと言う
- 食欲がなくなる
- 皮膚が赤く乾燥している
- ぼーっとしている、会話が噛み合わない
これらのサインが見られた場合は、すぐに涼しい場所に移し、水分補給と安静が必要です。放っておくと意識障害や痙攣、最悪の場合は入院・後遺症のリスクにもつながります。
1-3 年齢別に見るリスクの違い
子どもは体温調節機能が未熟で、大人よりも熱中症にかかりやすいといわれています。とくに以下のような年齢別特徴があります。
- 幼児(1〜6歳)
体が小さく、地面からの照り返しの影響を強く受ける。しかも自分の体調を言葉で正確に伝えられない。 - 小学生(7〜12歳)
外遊びやスポーツを活発に行う年齢。遊びに夢中になると喉の渇きや体の異変を無視してしまう。 - 中学生以上
部活動や通学で長時間外にいることが多い。無理をしてしまうことも多く、疲労が蓄積されやすい。
どの年齢でも油断は禁物です。「まだ子どもだから大丈夫」ではなく、「子どもだからこそ危険」と捉えるべきなのです。
2. 実際に起きた「子どもの熱中症」エピソード
子どもの熱中症は、どこで、どんなふうに起こるのか──それを知るには、実際にあったエピソードを知ることが一番の気づきになります。ここでは、代表的な3つのケースを取り上げます。
2-1 炎天下で遊んで倒れた小学2年生
東京都内の公園で、小学2年生の男児が夏休み中、午前10時から正午まで炎天下で友達と遊んでいたところ、急にふらついて転倒。通行人が救急車を呼び、搬送先で「中等度の熱中症」と診断されました。3日間の入院となり、保護者は付き添いのため会社を休む必要があり、心身ともに大きな負担となりました。
「水筒は持たせていたけれど、遊びに夢中でほとんど飲んでいなかったみたい」と母親。
出典:東京都福祉保健局『熱中症にご注意を!』事例紹介(2022年)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kenkou/ondanka/necchuushou.html
2-2 体育の授業中に倒れた中学生のケース
大阪府内の中学校にて、9月の体育授業中に中学1年の男子生徒がランニング中に突然意識を失い、搬送先で熱中症と診断されました。幸い後遺症はありませんでしたが、一時は脳に障害の疑いもあると医師から説明を受ける状況でした。
このような学校内での熱中症事故は毎年多発しており、文部科学省の調査によると、体育の授業中の発生件数が最も多いとされています。
出典:文部科学省『令和4年度 学校における熱中症事故の状況』
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/hakusho/html/20230515-mxt_kensport02-000031715_2.html
2-3 室内で起きたケースも
熱中症は外だけの話ではありません。特に小さな子どもは、室内でもリスクがあります。
- エアコンのない保育園で、昼寝中に2歳児がぐったりし病院に搬送(室温31℃・湿度75%)
- 自宅で留守番中、締め切った部屋で昼寝していた4歳男児が高熱と嘔吐を起こし救急搬送
出典:環境省『熱中症予防情報サイト/熱中症による救急搬送状況(2022年)』
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness.php
これらの事例からわかるのは、熱中症は「特別なシチュエーション」で起きるものではなく、誰の家庭にも起こりうる日常の延長線上のリスクだということです。次章では、親が事前にできる対策に焦点をあてて解説していきます。
3. 熱中症を防ぐために親ができること
子どもの熱中症を防ぐには、親のちょっとした「気づき」や「声かけ」が大きな効果を生みます。ここでは、家庭で今日からできる具体的な対策を紹介します。
3-1 朝の体調チェックを習慣に
「朝の顔つき」でその日のリスクがわかることがあります。以下のような状態が見られたら、熱中症の初期症状の可能性があります。
- なんとなくぼーっとしている
- 顔が赤く火照っている
- 食欲がない、だるそう
- 眠そうで反応が鈍い
子どもは体調の異変をうまく言葉にできないため、表情や動きの違和感を親が読み取ることが重要です。場合によっては、無理をさせず休ませる判断も必要です。
3-2 水分補給と服装の見直し
「のどが渇く前に飲む」──これが熱中症対策の基本ですが、実際には忘れてしまうことも多いものです。特に夏場は、以下の工夫が有効です。
水分補給のポイント
- 水よりもスポーツドリンクを(塩分・糖分があることで吸収されやすい)
- 「一気に飲ませる」のではなく、こまめに摂取できるように声かけ
- 外出時は500ml以上の飲み物を必ず持参
服装のチェック
- 速乾性・通気性のある素材(綿100%よりもポリエステル混紡など)
- 色は白や淡色系で熱吸収を抑える
- 帽子は通気孔つき・首元も守れるタイプがおすすめ
服装を見直すだけで、熱のこもり方が大きく変わります。
3-3 学校・塾・習い事にも一声かける
家庭だけでなく、子どもが長時間過ごす学校や習い事の環境もチェックしておくべきポイントです。
チェックしたいポイント
- 冷房設備が使われているか?室温管理はされているか?
- 水筒や帽子の持参は許可されているか?
- 体育や屋外活動時の休憩・水分補給のルールはあるか?
特に塾や習い事などでは、学校ほど厳密な管理がされていないこともあるため、親の側から確認・要望することが安心につながります。
3-4 子どもにも「危険サイン」を教える
どれだけ注意していても、親の目が届かない時間帯は必ずあります。だからこそ、子ども自身が「危険」を認識できる力を持っていることが大切です。
教えておきたいポイント
- 「のどが渇いた」ではなく、「頭が痛い」「気持ち悪い」も熱中症のサイン
- 少しでも異常を感じたら、すぐに大人に伝える/日陰で休む
- 恥ずかしがらずに「休ませてください」と言ってよい
低学年の子にも、絵カードや漫画などを使って分かりやすく伝えると効果的です。命に関わる話であることを、やさしく・具体的に伝えてあげましょう。
4. それでも起きるのが熱中症──入院・治療の現実
どれだけ気をつけていても、熱中症はふとした瞬間にやってきます。もし子どもが倒れてしまったら、親はどう動き、どんな出費や負担が発生するのか?ここでは、実際の入院・治療にまつわるリアルを紹介します。
4-1 救急搬送→点滴→入院…あっという間に高額医療費
熱中症の症状が強い場合、救急車で搬送され、すぐに点滴・血液検査・場合によっては入院という流れになります。健康保険があるとはいえ、医療費の自己負担額は決して小さくありません。
【医療費の目安(健康保険適用・3割負担の場合)】
内容 | おおよその自己負担 |
---|---|
救急搬送 | 無料(地域により有料) |
初診・検査・点滴 | 5,000~10,000円程度 |
入院(1泊2日) | 約1万〜3万円程度 |
入院中の検査・治療追加 | 数千円〜数万円の追加あり |
出典:厚生労働省「医療費の自己負担に関する調査」および東京都福祉保健局資料
特に小児の入院は、慎重に経過をみるため数日を要するケースもあり、最終的に合計5万円以上の支出になることも珍しくありません。
4-2 付き添い入院の親の負担も大きい
医療費以外に意外と大きな負担になるのが、「付き添う家族」の生活です。特に母親がマンツーマンで病室に泊まり込むケースでは、次のような現実があります。
【親の負担例】
- 仕事を急に休む必要がある
→ 有給を使い切ってしまう/パート代が減るなど経済的打撃に - 兄弟姉妹の預け先の確保
→ 祖父母やファミサポへの依頼が必要、場合によっては追加出費も - 交通費・病院内での食費・差額ベッド代
→ 毎日通う場合は交通費だけで数千円、個室になると1泊5,000円前後の差額ベッド代が発生することも
このように、医療費以外の“見えない出費”が重くのしかかってくるのです。
4-3 「うちは保険がないから…」という家庭の不安
最近では共働き家庭が増え、「学資保険は入ってるけど、医療保険は…」という声も少なくありません。実際、民間医療保険に加入していない世帯も多く、次のような不安を抱えています。
- 「医療費が急にかかると生活が苦しい」
- 「個室代や交通費までは無理…」
- 「自分の仕事を休むわけにもいかない」
突然の医療費出費=家計のピンチになることは、小さなお子さんを持つ家庭では決して他人事ではありません。
5. そんなとき助けになる「入院パスポート」って?
子どもが突然の熱中症で入院…そんなときに、医療費や付き添いの負担を軽減してくれる心強い味方が「入院パスポート」です。ここではその特徴やメリット、他の医療保険との違いについて詳しく解説します。
5-1 入院パスポートとは?
「入院パスポート」は、損保ジャパンが提供する短期・定額型の医療保険です。名前の通り、「もしも入院することになったとき」に備えて、日額の補償を受け取れる仕組みになっています。
熱中症や感染症など、突然の病気やケガで入院が必要になった場合に、まとまった給付金が受け取れるのが大きな特長です。
通院や手術に対応したプランもあり、子どもだけでなく大人の加入も可能です。
5-2 特徴とメリット
月額980円から加入可能(※プラン例)
例として、月額980円のプランでは、以下の補償が受けられます.
補償内容 | 給付額 |
---|---|
入院日額 | 1日あたり 10,000円 |
通院 | 1日あたり 3,000円 |
手術 | 最大20万円(手術の内容による) |
※保険料や給付額はプランによって異なります。
この給付金は、実際の医療費だけでなく、
- 交通費や差額ベッド代
- 親の仕事休業に伴う収入減
- 病院での付き添いによる生活費の補填
など、柔軟に使うことができる自由度の高さも魅力です。
家族でも、子ども単体でも加入可能
保険加入は本人単体でもOK。たとえば「下の子だけ加入したい」「子ども2人だけ加入したい」といったニーズにも柔軟に対応可能です。
加入手続きはオンライン完結。スマホで簡単に申込できるのも、忙しい親にはありがたいポイントです。

5-3 ほかの医療保険との違い
一般的な医療保険は、長期加入や掛け捨てタイプが多く、「解約すると保障がゼロになる」「必要なときに入れない」などの不安もあります。一方で入院パスポートは
- いつでも加入・解約が可能(最短1カ月)
- 短期間の保障を目的にしてもOK
- 一時的なリスク対策に最適
といった特徴があり、特に「この夏だけ備えておきたい」「熱中症が心配な期間だけ入っておきたい」といった使い方にも向いています。
次章では、実際にどんな人がこの「入院パスポート」を使って備えているのか、活用例や体験談を紹介していきます。実感をもって備えるためのヒントが見えてくるはずです。
6. 熱中症と保険のQ&A(よくある疑問)
「熱中症の保険って本当に必要?」「子どもは健康保険に入ってるし…」そんな疑問を持つ方も多いはずです。ここでは、実際によく聞かれる質問に対して、親の視点でわかりやすくお答えしていきます。
6-1 健康保険があるのに、保険って必要?
健康保険は確かに医療費の自己負担を3割に抑えてくれる制度です。しかし、熱中症で入院した場合、かかるのは医療費だけではありません。
- 点滴・検査・入院費用:3万円前後(3割負担後)
- 差額ベッド代:1日5,000円〜1万円
- 親の仕事の休業による減収
- 付き添い時の食費・交通費 など…
合計で5万〜10万円以上の出費になることもあります。
保険はそうした「医療費以外」の部分をカバーする役割が大きいのです。
6-2 熱中症でも本当に保険金はおりる?
はい、熱中症は「病気による入院・通院」として正式に保険適用されます。
特に「入院パスポート」などの短期医療保険は、熱中症を含む急な入院・通院への補償を明確にカバーしています。
保険金が下りるかどうかは、契約内容によって異なりますが、一般的な医療保険・傷害保険でも「熱中症」は対象となっていることがほとんどです。
6-3 学校で倒れた場合は、学校の保険でカバーされないの?
多くの学校では「日本スポーツ振興センター災害共済給付制度(JSC)」に加入しており、学校管理下でのケガ・病気について一定の給付が受けられます。
しかし、
- 給付額が少額(入院1日1,000〜2,000円程度)
- 親の付き添いや通院交通費などは非対象
- 適用には申請と学校の手続きが必要
といった制限があります。
そのため、「学校保険があるから大丈夫」と思い込まず、家庭での補償体制も併せて整えるのが現実的です。
6-4 兄弟・姉妹がいても全員入るべき?
熱中症のリスクは年齢や体質によって異なりますが、兄弟全員が対象になるのが理想です。
- 兄は野球部で日中に活動が多い
- 妹はインドア派で室内熱中症の心配がある
- 下の子は体力がまだ少なく症状が進行しやすい
…など、それぞれに違ったリスクがあります。
「入院パスポート」のように子どもごとに個別加入ができるタイプもあるため、必要に応じてカバー範囲を調整するとよいでしょう。
7. まとめ|熱中症は「突然起きる」、だからこそ“備え”が必要
子どもの熱中症は、どれだけ気をつけていても完全には防ぎきれないものです。特に夏場は、ちょっとした油断や環境の変化が、命にかかわる事態を引き起こします。
体調管理だけではカバーしきれない現実
朝の体調チェック、水分補給、服装の工夫など、親としてできる対策はたくさんあります。しかし、完璧な対策でも100%防げるとは限りません。
実際に、
- 体育の授業中や部活中に倒れたケース
- エアコンのない室内で重症化した例
- 遊び中の子どもが気づかないうちに脱水状態になった事例
など、日常の延長線上で深刻な症状につながることも少なくありません。
医療費だけじゃない「経済的負担」も考えておく
熱中症で入院した場合、
- 入院費用・差額ベッド代
- 親の付き添いによる仕事の調整
- 通院交通費や日用品の買い出し
- 下の子の預け先や家族の対応
など、直接・間接的な負担が想像以上にかかります。
「入院パスポート」で安心感を持てる夏へ
今回ご紹介した「入院パスポート」は、熱中症をはじめとする急な入院や通院に対応した定額型の保険です。月額980円から加入でき、1日あたり1万円の入院給付金が支給されるプランもあります(※例として)。
家族全体をカバーするもよし、子どもだけにピンポイントで加入するもよし。「とりあえず今の夏だけ」など、柔軟に使える点も大きなメリットです。
- 熱中症の危険を家族で共有する(子どもにも危険サインを教える)
- 保険の見直しをする(必要に応じて短期の補償を検討)
- 体調管理+装備の確認(帽子・服装・水分補給)
「うちは大丈夫」──そう思っていたご家庭こそ、いざという時に困ってしまうもの。この夏を安全に、そして安心して過ごすために、今日からできる“備え”を始めてみませんか?

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