自転車は、子どもから大人まで毎日の生活に欠かせない身近な移動手段です。特に中高生にとっては通学や部活動、友達との外出に欠かせない“足”になっていますよね。
そんな自転車ですが、2026年4月から大きなルール改正が始まります。これまで「注意」や「指導」で済んでいた違反行為に対しても、青切符(交通反則切符)が交付され、反則金を払わなければならないことになるのです。
「え、自転車でお金を取られるの?」「子どもが違反したらどうなるの?」と驚かれる方も多いはず。実際、信号無視やスマホ操作、イヤホンをつけての走行など、日常的についやってしまいがちな行為が対象となります。
今回は、この「青切符制度」の内容と、特に気をつけたい違反ポイントを、親子で自転車を利用する目線からわかりやすく解説します。
2. 青切符制度ってなに?
「青切符制度」とは、警察官が交通違反をした運転者に交付する“交通反則切符”のことです。これまでは自動車やバイクが対象でしたが、2026年4月からは自転車にも適用されます。
これまで自転車の違反は、ほとんどが警察官による「注意」や「指導」で済まされてきました。しかし制度改正により、違反をすればその場で反則金を科されることになります。
青切符制度とは、2026年4月から新しく導入される、自転車運転に関するルール
- 反則金の目安:5,000〜12,000円(違反内容によって変動)
- 対象年齢:16歳以上の自転車利用者
つまり、高校生や大人は違反をすれば即「お金を払う」ことになるのです。
子どもが違反したらどうなるの?
「じゃあ、小学生や中学生が違反したらどうなるの?」と不安に思う方もいるでしょう。結論から言うと、15歳以下は青切符制度の対象外です。ですので、直接反則金を支払うことにはなりません。
ただし安心はできません。
- 警察官からの厳しい注意や指導は行われる
- 保護者へ連絡が入る場合がある
- 学校に情報が伝わる可能性もある
また、子どもが事故を起こして相手にケガをさせたり物を壊したりした場合は、親が監督責任を問われ、損害賠償を負うことになります。実際に、子どもの自転車事故で数千万円の賠償を命じられた例も存在します。
親が知っておくべきポイント
- 高校生(16歳以上)は直接「青切符+反則金」の対象になる
- 小中学生(15歳以下)は罰金はないが、社会的な指導や保護者責任が強化される
- 事故に発展すれば、親が経済的責任を負うケースが多い
つまり、青切符制度は「子どもが直接罰金を払うかどうか」だけの問題ではありません。親がどれだけ日常的に子どもへ安全教育をしているか、その姿勢が問われる制度だといえます。
3. 特に注意すべき違反項目
青切符制度で対象となる違反の中には、「そんなの危ないのは分かってるよ」というものもあれば、「え?それも罰則があるの?」というものもあります。ここでは、実際に日常で子どもや大人がやりがちな行為と、その内容・反則金をわかりやすくまとめていきます。
(1) 信号無視
つい「車が来ていないから」と渡ってしまう信号無視。特に子どもは急いで帰ろうとしたり、友達と競争気分で走っていると、赤信号でもそのまま行ってしまうことがあります。
- 反則金の目安:7,000円程度
- 危険度:非常に高い(車から見落とされる、横断歩行者との接触)
「車が来てない=安全」ではないことを繰り返し伝えましょう。信号は「自分を守るルール」だと理解させるのがポイントです。
(2) 一時停止違反(止まらずに交差点へ進入)
「誰も来ていないから大丈夫」と思ってそのまま交差点に突っ込んでしまう。これも親子ともども非常にやりがちな行動です。
- 反則金の目安:5,000円程度
- 危険度:高い(車や他の自転車が来たときに避けられない)
1. 標識・標示がある場所
- 赤い逆三角形の「止まれ」標識
- 路面に大きく書かれた「止まれ」標示
このいずれか、もしくは両方がある交差点では、自転車も必ず完全に停止しなければなりません。
2. 「完全に止まったかどうか」が重要
一時停止は「減速」ではなく「停止」です。
- タイヤが完全に止まる
- その状態で「右・左・右」を確認する
これが法律上の“一時停止”になります。
いわゆる「ノンストップで徐行」「減速してチラッと見ただけ」では、違反扱いです。
3. 踏切でも一時停止が必要
見落とされがちですが、自転車も踏切は必ず一時停止が義務です。
電車が来ていなくても「止まって確認」がルール。ここも警察の取り締まりポイントになりやすい場所です。
(3) 通行区分違反(逆走や歩道の無理な走行)
自転車は原則「車道の左側通行」ですが、子どもはつい逆走したり、歩道をスピードを出して走ったりしてしまいます。
- 反則金の目安:6,000円程度
- 危険度:中〜高(正面衝突、歩行者との接触事故)
自転車は 原則は車道左側通行 ですが、以下のケースでは歩道を走ることが法律で認められています。
- 13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、身体に障害のある方
- 「自転車通行可」の標識がある歩道
- 工事中や交通量が多いなどで車道を走るのが危険な場合
この条件に当てはまれば、歩道を通行すること自体は違反になりません。
(4) スマホを見ながらの“ながら運転”
LINEの通知が気になってつい見てしまう、地図アプリを確認しながら走ってしまう…。大人もやってしまいがちな違反です。
- 反則金:7,000円〜
- 危険運転で事故を起こした場合 → 最長1年以下の懲役または30万円以下の罰金
- 危険度:極めて高い(視界を奪われる=無防備な状態)
「スマホは一度止まってから見る」習慣を徹底させましょう。子どもに“ながらスマホ”の恐ろしさを動画やニュース記事で一緒に確認するのも効果的です。
(5) イヤホンで音楽や動画を聴きながら
「片耳だけだから大丈夫」と思っている子も多いですが、音が聞こえにくくなることで事故リスクは大幅に上がります。
- 反則金の目安:6,000円程度
- 危険度:高(車のクラクションや後ろからの接近に気づけない)
「耳をふさぐ=命を守るチャンスを減らすこと」だと理解させましょう。どうしても音楽を聴きたいなら歩きのときだけにさせるのが安心です。
(6) 傘さし運転・手放し運転
雨の日に傘をさして運転するのも禁止です。片手運転になることで、バランスを崩して転倒する事故が多発しています。
- 反則金の目安:5,000円程度
- 危険度:中(単独転倒でも大ケガにつながる)
「雨の日は自転車に乗らない」を家庭ルールにするのが一番です。レインコートや親の送迎など代替策を準備しておきましょう。
4. なぜここまで厳しくなるのか?
2026年の青切符制度導入は「自転車の取り締まりを強化したいから」だけではありません。背景には、自転車が関わる事故の増加や社会的な影響があり、国や自治体が「もう見過ごせない」と判断した流れがあります。
自転車事故が年々増えている
警察庁の統計によると、自転車が絡む交通事故は全体の約2割を占め、そのうち信号無視や一時不停止といった基本ルール違反が原因になっているケースが多く報告されています。
特に子どもや高校生の事故は、通学時間帯に集中しており「毎日普通に使うからこそ起きる事故」が目立っています。
(2) 重大事故・高額賠償のケースが相次いでいる
自転車事故は「軽いケガで済む」というイメージがありますが、実際には歩行者や車との接触で死亡事故や重傷事故に発展することも少なくありません。
過去には、
- 中学生が夜間に歩行者へ衝突 → 歩行者が重度の障害を負い、保護者に9,500万円の賠償命令
- 高校生が信号無視で車と衝突 → 本人が大けがを負い、長期入院に
といったケースがニュースになり、社会的な関心を集めました。「自転車は軽車両」という位置づけを、多くの人が改めて意識するきっかけになっています。
(3) 自転車利用がさらに広がっている
- コロナ禍以降、健康や環境意識の高まりで自転車通勤・通学が増加
- シェアサイクルや電動自転車の普及で、街中での自転車台数も増えている
こうした背景から、都市部では「自転車と歩行者が混在するリスク」が高まり、ルール遵守がより重要になってきました。
(4) 国の狙いは「意識を変えること」
青切符制度の本当の目的は、罰金を集めることではありません。「自転車も車と同じように責任を持って運転する」という意識を根付かせることが狙いです。
自転車に乗る人が「違反=お金を払うことになる」と現実的に感じれば、自然とルール遵守の意識が高まります。これは結果的に事故の減少につながり、社会全体の安心につながっていきます。
(5) 親として受け止めたいこと
今回の制度改正は「大人だけの話」ではありません。
- 高校生(16歳以上)は直接反則金の対象
- 小中学生も警察や学校からの指導が厳しくなる
- 事故に発展すれば親が責任を負う
つまり、親にとっても「うちの子は大丈夫」では済まされないのです。ルールを正しく理解し、家庭で安全教育をすることが、子どもを守る第一歩となります。
5. 親としてできること
制度が厳しくなるのは事実ですが、裏を返せば「親が正しい知識を伝え、子どもに習慣づけさせる絶好の機会」ともいえます。ここでは、日常生活の中で親ができる工夫をご紹介します。
(1) 子どもと一緒にルールを学び直す
「自転車は車両だから、車と同じルールがあるんだよ」という基本を改めて伝えましょう。特に、信号・一時停止・通行区分などは「知っているつもり」で守れていないことが多い部分です。
おすすめの工夫
- 家族で実際に交差点に立ち、「ここではどんなルールがある?」とクイズ形式で確認する
- ニュース記事や動画を一緒に見て、「こんな事故もあるんだね」と話題にする
「知識」だけでなく「イメージ」を持たせることが、子どもの理解を深めます。
(2) 家庭内ルールをつくる
子どもは「禁止されているから守る」のではなく、「家庭のルールだから守る」ほうが行動に結びつきやすいです。
例:
スマホやイヤホンは自転車中は絶対に使わない
信号は必ず守る(遅れても叱らない)
雨の日は自転車に乗らず、歩くか親が送迎する
帰宅時間はライトを必ず点ける
「親も同じルールを守る」ことで説得力が増し、子どもも自然と意識するようになります。
(3) 点検・装備を親がサポート
子ども任せでは「ライトの電池切れ」「ブレーキの劣化」に気づかないまま乗ってしまいます。
- 月に一度は一緒にタイヤ・ブレーキ・ライトを確認
- 成長に合わせてサドルやハンドルの高さを調整
- 夜道には反射材つきグッズを必ず使用
「一緒に点検する習慣」が親子の安全意識を高めます。
(4) 「罰金」だけでなく「命のリスク」を伝える
青切符制度で反則金が科されることはもちろん大事ですが、子どもにとっては「お金の実感」が薄いこともあります。
そこで、「信号を守らなかったら罰金だけじゃなく、大けがするかもしれない」「相手をケガさせたら親も大変になる」という現実を、年齢に合わせて丁寧に伝えましょう。
(5) 万が一に備えて保険も確認
どれだけ気をつけても事故はゼロにできません。
- 相手にケガをさせてしまった場合の賠償責任
- 子ども自身がケガをした場合の治療費
これらに備えて、自転車保険に入っておくと親の安心感も違います。多くの自治体では加入が義務化されているので、未加入ならこの機会に検討しましょう。

まとめ
2026年から始まる青切符制度は、自転車に乗るすべての人にとって大きな転換点です。
信号無視やスマホ操作など、日常で“ついやってしまいがちな行為”が違反として取り締まられ、反則金が科される時代になります。
しかし、これは「子どもを厳しく取り締まるため」ではなく、自転車を安心して利用できる社会をつくるための一歩です。
親ができるのは、
- 正しいルールを一緒に学ぶこと
- 日常で安全習慣を根づかせること
- そして万が一の備えを整えること
お子さんの安全と未来を守るために、今こそ家庭での自転車ルールを見直してみてはいかがでしょうか。
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