車と自転車の事故の過失割合は?【前編】

交通事故の過失割合とは、事故における当事者それぞれの責任(不注意や過失)の割合を示すものです。

双方に過失がある場合、通常は各当事者が契約している保険会社の担当者同士で話し合い、過失割合を決定します。この話し合いでは、過去の類似した裁判例を基準に、実際の事故状況に応じて割合を調整しながら判断が行われます。

今回は、車と自転車の事故のタイプ別に基本の過失割合をご紹介しています。

交差点での直進車同士の事故の過失割合

まず、交差点で直進者同士での車・自転車間の事故の過失割合についてです。

交差点に青信号で進入した自転車と、赤信号で進入した四輪車の事故

信号付きの交差点で、青信号で進入した自転車と赤信号で進入した四輪車が衝突した場合の過失割合についてです。

信号機のある交差点では、当然ながら信号を遵守する必要があります。そのため、青信号で交差点に進入した自転車には過失は認められず、常、赤信号を無視して進入した四輪車側に100%の過失が生じます。

交差点に青信号で進入した四輪車と、赤信号で進入した自転車の事故

信号機のある交差点で、青信号で進入した四輪車と赤信号で進入した自転車が衝突した場合の過失割合についてです。

交差点では信号を遵守する義務があるため、赤信号で進入した自転車側には大きな過失が発生します。一方で、青信号で通行する四輪車にも、交差点で自転車の飛び出しを予測し、安全運転に努める義務があります(道路交通法第36条第4項)。これを踏まえ、基本的な過失割合は自転車側が80%、四輪車側が20%です。

信号機のない交差点での事故

次に、信号機がない交差点での車・自転車間の事故についてです。信号がある場合よりも、こちらの方が発生する確率が高くなります。

同程度の道幅の交差点での事故

信号機のない交差点で、同じ道幅を直進する自転車と四輪車の出会い頭の衝突事故における基本過失割合についてです。

自転車は軽車両に分類され(道路交通法第2条第1項第11号)、四輪車や二輪車と同様に道路交通法を守って走行する義務があります。ただし、四輪車と自転車では、自転車が交通弱者であり、速度も比較的低いため、四輪車側に大きな過失が認められます。このケースの基本過失割合は、自転車が20%、四輪車が80%です。

広い道路からの自転車と、狭い道路からの四輪車の事故

信号機のない交差点で、「明らかに広い道」から進入した自転車と、狭い道から進入した四輪車との衝突事故における基本過失割合についてです。

「明らかに広い道」とは、交差点の入口で一目でわかるほど一方の道路の幅員が他方より広い場合を指します。この場合、広い道から進入する自転車には優先権があるため、四輪車側の過失が大きくなります。

通常、同程度の道幅の交差点で直進する自転車と四輪車の事故では、自転車に20%、四輪車に80%の過失割合が適用されますが、本件では自転車が広い道路を走行しているため、四輪車の過失割合が90%に増えます。一方、自転車側にも交差点での注意義務(道路交通法第36条第4項)があり、過失割合は10%となります。

広い道路からの四輪車と、狭い道路からの自転車の事故

信号機のない交差点で、広い道路から進入した四輪車と、狭い道路から進入した自転車が衝突した場合の基本過失割合についてご説明します。

ここで「広い道路」とは、交差点の入口で見て、他の道路よりも幅員が明らかに広いことが視認できる道路を指します。このケースでは、広い道路から進入する四輪車に優先権が認められるため、通常の過失割合よりも四輪車側の過失が減少します。

通常、同程度の道幅の交差点で直進する自転車と四輪車の事故では、自転車の過失割合は20%、四輪車は80%となります。しかし、本件では四輪車が広い道路を走行しているため、過失割合は自転車が30%、四輪車が70%となります。

四輪車側に一時停止(止まれ)の規制がある場合

信号機のない交差点で、直進して進入した四輪車と自転車の事故について、四輪車側にのみ一時停止(止まれ)の標識がある場合の過失割合です。

通常、同じ道幅の交差点で直進する自転車と四輪車の事故では、自転車の過失割合が20%、四輪車が80%です。しかし、このケースでは四輪車側に「止まれ」の規制があるため、停止義務を果たさなかった過失が重く評価され、四輪車側の過失割合がさらに大きくなります。

結果として、この場合の基本過失割合は、自転車が10%、四輪車が90%となります。

自転車側に一時停止(止まれ)の規制がある場合

信号機のない交差点で、直進して進入した自転車と四輪車が衝突した場合、自転車側にのみ一時停止(止まれ)の標識がある際の過失割合についてです。

通常、同じ道幅の交差点での直進自転車と四輪車の事故では、自転車の過失割合は20%、四輪車が80%となります。しかし、このケースでは自転車側に一時停止の規制があるため、自転車の過失が重く評価されます。

その結果、この場合の基本過失割合は、自転車が40%、四輪車が60%です。

自転車が優先道路を走行している場合

信号機のない交差点で、直進して進入した自転車と四輪車が衝突した場合、自転車が優先道路を走行している際の基本過失割合についてです。

ここでいう「優先道路」とは、交差点内をセンターラインが通り抜けている道路を指します。この状況では、自転車が優先道路を走行しているため、四輪車側の過失が大きくなります。

通常、同じ道幅の交差点での直進自転車と四輪車の事故では、自転車に20%、四輪車に80%の過失割合が適用されますが、このケースでは四輪車の過失割合がさらに増加し、自転車が10%、四輪車が90%の基本過失割合となります。

四輪車が優先道路を走行している場合

信号機のない交差点で、直進してきた自転車と四輪車が衝突した事例です。この場合、四輪車が優先道路を通行している状況における過失割合を考慮します。

優先道路とは、交差点内においてセンターラインが通過する道路のことを指します。このシナリオにおいては、自転車Aと四輪車Bの基本過失割合はそれぞれ50%となります。

ただし、同じ道幅の交差点における直進自転車と直進四輪車の一般的な事故では、自転車の過失が20%、四輪車の過失が80%とされるのが通常です。しかし、この事故の場合は、四輪車が優先道路を走行しているため、自転車の過失割合に30%の加算がなされます。結果として、自転車の過失は増加します。

後編では

  • 四輪車が一方通行を逆走している場合
  • 自転車が一方通行を逆走している場合
  • 同程度の道幅の交差点における「ながらスマホ」の自転車と四輪車の事故
  • 前方を走る自転車が障害物を避けるために進路変更した際の接触事故
  • 傘差し運転の自転車とクルマの事故
  • 夜間、無灯火で飛び出してきた自転車との事故
  • 駐車場から道路に出ようとした車と自転車との衝突事故本サイトご利用にあたってのご注意

について、触れていきたいと思います。

このような事故の際に心強いのが自転車保険。

被害者の場合も、万が一加害者になってしまった場合も保険の補償があれば一安心。事故を起こしてしまった際に、慌てず冷静に対処する事ができます。

まとめ

事故における過失割合は、事故の状況や法的な規制によって大きく変わることがあります。

本サイトで提供する基本過失割合はあくまで参考の一つであり、実際の事故においては具体的な状況を詳細に確認することが不可欠です。

特に、優先道路や一時停止の規制がある場合には、過失の判断が異なることがありますので注意が必要です。事故の際は、専門家と相談し、正確な過失割合を確認することが重要です。事故に巻き込まれた場合でも、冷静に対応することで適切な解決を目指すことができます。