自転車でも2段階右折が必須?!どうなるこれからの自転車ルール

X(旧Twitter)で、こんな投稿が話題になっています。

数万件のいいねがつき、コメント欄では「知らなかった!」「子どもにも教えなきゃ」「取り締まりが厳しくなりそう」といった声が相次ぎました。

ここで注目されているのが、2026年4月から導入予定の「自転車の青切符制度」です。これまで自転車の交通違反といえば、警察官の「口頭注意」や「指導」で済むことが多かったですが、今後は軽微な違反でも反則金の対象になるという大きな制度改正が行われます。

これにより、信号無視や一時不停止、右側通行といった“よくある違反”が取り締まりの対象に。そして、SNS上では「じゃあ、自転車の右折も“原付と同じように2段階右折しなきゃいけないの?”」という疑問が広がっているのです。

確かに、車道を走る自転車が増え、交差点でのヒヤリとする場面を見かけることも多くなりました。原付は法律で2段階右折が義務づけられていますが、自転車も同じなのか。

今回は

  • 2026年の青切符制度の概要
  • 原付との違い
  • 警視庁が定める自転車の正しい右折方法
  • そして、親として知っておきたい安全ポイント

をわかりやすく整理していきます。

2026年4月から始まる「自転車の青切符制度」とは?

自転車の“青切符制度”は、2026年4月から全国で導入予定の新しい交通取り締まり制度です。これまで、自転車の交通違反に対しては、警察官による「注意」「指導」が中心でした。重大な違反や事故を起こした場合には「赤切符(刑事処分)」となるケースもありましたが、それ以外の多くは事実上、罰則のない“注意レベル”で済まされていたのが実情です。

しかし、年々増える自転車事故や危険運転を受けて、警察庁は対応を強化。2026年からは、軽微な違反でも「反則金」を科すことができるようになります。

いわば、クルマやバイクの「青切符」と同じ仕組みが、自転車にも導入されるということです。

対象となる違反の例

具体的には、次のような行為が取り締まりの対象になります。

取締り対象の例
  • 信号無視
  • 一時不停止
  • 右側通行
  • 夜間の無灯火
  • 傘差し運転・スマホながら運転
  • イヤホン・ヘッドホンでの運転
  • 歩行者妨害 など

これらはすべて、警視庁が定める「自転車の交通ルール」に明確に違反する行為です。たとえば、歩道を高速で走行して歩行者を驚かせたり、信号を無視して交差点に突っ込んだり、一見「軽い違反」に見えても、事故につながるリスクは大きいのです。

制度導入の背景「自転車も“車両”である」という意識改革

警察庁がこの制度を導入する背景には、「自転車は歩行者でも子どもの遊具でもなく、“車両”である」という意識を社会全体で浸透させる狙いがあります。

自転車は法律上、道路交通法で“軽車両”に分類されます。つまり、車道を走る際はクルマやバイクと同じように、信号・標識・通行区分を守る義務があるということです。

しかし現状は、歩道と車道を自由に行き来したり、右側通行をしたり、信号を無視するといった違反が日常的に見られ、交通トラブルの原因にもなっています。

青切符制度の導入は、こうした「グレーな違反」を明確に罰則対象とすることで、自転車利用者の意識を高め、交通社会の一員としての責任を促す目的があります。

通学や通勤にも影響が

この制度は、大人だけでなく、中高生など通学で自転車を使う人にも影響します。これまで「注意だけ」で済んでいた信号無視や一時不停止も、反則金の対象になる可能性があります。

つまり、「子どもだから」「学生だから」はもう通用しない時代に。親としても、家庭で交通ルールを正しく教えることが求められるようになります。

このように、自転車の青切符制度は“取り締まり強化”というよりも、「自転車もルールを守る乗り物」という意識を社会に定着させるための第一歩です。

原付には義務の「2段階右折」とはどんなルール?

「2段階右折」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。これは、原動機付自転車(原付)が右折するときに行う特別な方法です。

原付はクルマに比べてスピードが遅く、交差点で右折レーンに入ると後続車に追突される危険があります。そこで法律では、原付に「車線を横断せず、いったん直進してから右折する」というルールを義務づけています。

2段階右折の基本的な流れ

実際の動きを簡単に説明すると、次のようになります。

  1. 右折したい交差点が近づいたら、車道の左端を直進します。
  2. 交差点を渡った先でいったん停止し、進行方向を右へ変えます。
  3. 対向方向の信号が青になったら、再び直進して交差点を渡る。

この2回の動作を行うことで、右折を完了します。

一見、遠回りに見えるかもしれませんが、クルマの流れに割り込まずに右折できるため、安全性が高い方法とされています。

違反した場合は“交通違反”に

原付が2段階右折をせずに右折レーンから直接曲がると、「右折方法違反」として交通違反の対象になります。

罰則は「反則金4,000円(普通車より軽い)」+交通違反点数1点。免許を持つ人なら、れっきとした“違反切符”として処理されます。

このように、原付は法律で明確に2段階右折が義務づけられているのです。

自転車は“2段階右折”が必要なの?

結論から言うと自転車も原則として「2段階右折」をしなければなりません。

警視庁が公開している「自転車の交通ルール」には、次のように明記されています。

自転車は、右折するときは、あらかじめ道路の左端に寄り、
交差点の側端に沿って徐行しなければなりません。
(いわゆる「二段階右折」です)

出典:警視庁「自転車の交通ルール」

つまり、原付と同じように車線の真ん中を横切って右折してはいけないということ。クルマと一緒に右折レーンに入るのは、交通ルール違反になるおそれがあります。

自転車の2段階右折のイメージ

警視庁のルールに沿うと、自転車が右折する際の基本動作はこうなります。

  1. 右折したい交差点が近づいたら、左端を直進。
  2. 交差点の向こう側(横断歩道や自転車横断帯の手前)でいったん停止
  3. 進行方向を右へ向け、信号が青になったら再び直進。

この動きが、いわゆる“二段階右折”です。

たとえばT字路や信号のある交差点では、自動車の右折矢印信号に従うのではなく、歩行者と同じタイミングで「直進の青信号」に従って渡るのが正しい形になります。

「場所によっては義務」「実質的には推奨」

ただし、すべての交差点に「二段階右折専用」などの標識があるわけではありません。そのため、運転者が“どちらの方法で右折すべきか”迷う場面もあるかもしれません。

ですが、標識がなくても原則は2段階右折です。「車道の左端を通行しなければならない」という道路交通法第17条のルールからも、車線中央を横断して右折するのは原則として認められません。

つまり、「標識で指定があれば当然義務指定がなくても、安全のために2段階右折が基本」というのが実際の運転ルールなのです。

多くの人が誤解しているポイント

「自転車は軽車両だから、クルマと同じ動きをしてもいい」
「交差点で右折レーンに入っても問題ない」

そう思っている人は少なくありません。しかし実際には、車の流れに混ざること自体が危険であり、警視庁の公式ルールでも明確に禁止されています。

しかも2026年4月以降、青切符制度が始まれば、こうした「右折方法違反」も反則金の対象になる可能性があります。

つまり、これまで“グレーゾーン”だった部分が、「しっかり守るべきルール」として扱われるようになるのです。

自転車の2段階右折は、単なるルールではなく、交差点での「命を守る行動」です。特に子どもや学生など、視界が狭く動作が不安定な世代にとっては、正しく理解しておくことが何より大切です。

もしルールを誤るとどうなる? そして備えとしての自転車保険

自転車のルールを軽く見てしまう人は少なくありません。「歩道を走っても大丈夫」「少し信号を無視しても平気」そんな“なんとなくの運転”が、実は重大なリスクにつながります。

2026年4月の青切符制度が始まれば、これまで「注意」で済んでいた行為も、正式な交通違反として反則金が科される可能性があります。たとえば、信号無視や一時不停止、右側通行、右折方法の誤りなど。反則金の金額はまだ発表されていませんが、クルマや原付と同様に、違反内容に応じて数千円〜数万円の範囲で設定される見込みです。

つまり、自転車のルール違反も、これからは「れっきとした罰則のある行為」になるということです。

事故で他者を傷つけたらどうなる?実際にあった高額賠償事例

自転車の違反は、「罰金」だけでなく「損害賠償責任」に発展するケースもあります。
特に、子どもが加害者になるケースは社会問題化しています。

  • 事例①:小学生が女性に衝突 → 後遺症が残り、9,500万円の賠償命令(神戸地裁)
  • 事例②:高校生が自転車で歩行者に接触 → 重傷を負わせ、約5,000万円の支払い命令(東京地裁)

どちらも「スピードの出しすぎ」「一時不停止」が原因でした。たった一瞬の油断が、家計を揺るがすような大事故に発展してしまうのです。

こうした現実を踏まえると、ルールを守ることは“自分と家族を守る行動”であることがわかります。

自転車保険の役割とは?

もしもの事故に備えるために、多くの自治体ではすでに「自転車保険の加入義務化」が進んでいます。たとえば東京都・大阪府・兵庫県などでは、条例で自転車保険加入を義務づけています。

自転車保険には、主に次の3つの補償があります。

  1. 個人賠償責任保険
     → 相手をケガさせたり、物を壊したときに補償される。
  2. 傷害保険
     → 自分自身がケガをしたときの治療費を補償。
  3. 死亡・後遺障害補償
     → 万一のときに家族の生活を支える給付。

とくに「個人賠償責任保険」は、被害者への賠償額が数千万円〜億単位になる可能性もあるため、もっとも重要な補償項目です。

自転車保険の選びのチェックポイント
  • 家族全員が補償対象に入っているか(子どもも対象か)
  • 賠償上限が十分か(1億円以上が目安)
  • 他の保険と重複していないか(ダブル契約はムダ)

まとめ

自転車を取り巻くルールは、これから確実に変わっていきます。2026年の青切符制度が始まれば、取り締まりが強化されるのは時間の問題。そして、“なんとなく”の運転が、罰則や事故につながる時代になります。

私たちが今できるのは、「知ること」と「備えること」です。まずは、日常の中で

  • 正しい2段階右折を意識する
  • 交差点ではしっかり一時停止する
  • 夜はライトをつける

この3つを習慣にするだけでも、安全性はぐっと高まります。

そしてもう一歩、家族を守るために。もしもの備えとして、自転車保険への加入も検討してみましょう。

家庭でルールを話し合い、子どもと一緒に「安全な乗り方」を確認することが、これからの時代の“当たり前”になっていきます。

小さなルールの積み重ねが、未来の安心につながります。

この記事を書いた人 Wrote this article

ますい かな

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